『ハイライト・ハイライト』(くノ一ツバキの胸の内 OP)
歌唱 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
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the peggies | 北澤ゆうほ | 北澤ゆうほ | the peggies, 江口亮(Epic Records Japan) |
曲
BメロのD→Es→Eの階段状の転調が印象的(『プラチナ』みたい)。サビのメロディは「涙(B)枯れた後には」「私(D)が咲くの」の2連続下降音階と、その後さらに高い「ほ(Es)ら」に畳み掛ける繰り返しの気持ちよさがある。ここは厳密なシンコペーションのリズムが求められ、かつギチギチに詰まった歌詞を流れよく発音する必要がある。続く「身を焦がし挫けても」はなめらかな横の流れと若干のリズムの揺らしが入っている。その両方を自然体で歌いこなせる技術の高さ(に感心した。「踊れるように」はサビの後半に突入する準備として、サビの音の流れと似たことをやって予告編のような役割を果たしている(実はイントロもAメロの予告と言える)。
映像
出さなければいけないキャラクターが多いタイプのOP。主人公のツバキや班員のサザンカ・アサガオ・リンドウ、加えてベニスモモとモクレンあたりは扱いが大きい一方で1枚絵でサッと出るだけのキャラクターも多く、メリハリがある。全部のキャラクターを均等に見せようと思うと退屈な集合絵の連打になりがちなので、尺や曲の構成に合わせて取捨選択しているのは良いと思った。デコ。
作品
デコ。エッチ。
『Move The Soul』(群青のファンファーレ OP)
歌唱 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
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JO1 | PURPLE NIGHT(LAPONE ENTERTAINMENT) | PURPLE NIGHT(LAPONE ENTERTAINMENT) | PURPLE NIGHT(LAPONE ENTERTAINMENT) |
曲
全体的に伴奏が薄い。軽やかなベースのスラップが曲の雰囲気を作っていて、そこに最低限のドラムとシンセサウンドが乗っている。全員の歌唱力が高く多様な見せ場がある。Aメロはグルーブ感。1文字ごとの強弱のBメロのラップは声の迫力もあって良い。、サビの高音の伸びなど。も心地よい。
映像
テンポの良いモーショングラフィックスやド派手なCGが気持ちいい。アニメOPの一番な箇所であるところのサビの直前がウマの開眼カットなのはちょっと笑っちゃった。良い発想だとは思うんだけどウマの目は黒目大きくてイマイチ派手にならないのが惜しかった。超極上630度回り込みウユニ水飛沫ウマ疾走は歴史に残る1カット。この映像の後に枚数少なめでオバケとか使った騎手たちの映像が来るのはギャップが大きいんだけど、「Movin' on」のビート感の表現と考えれば正解なのかもしれない。
作品
バランスがすごく変な作品。アイドルから足を洗いたいという後ろ向きの話をずっとやっていて、6話終わってもまだ主人公がなんで騎手になろうと思ったのかよくわからない。周りのキャラクターもいつの間にか関係性を深めていつの間にか退場してたりする。作画は貧弱だが演出は意欲を感じる箇所がちょくちょくある。ウマを感じ取る(?)能力(??)を表現する映像はCGも色も美しい。音楽は澤野弘之が作っていて豪華。
『小喋日和』(古見さんは、コミュ症です。 ED)
歌唱 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
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FantasticYouth | Onyu | LowFat | LowFat |
曲
軽やかで寂しげなピアノソロから始まり、そこに同音連打を多用したやや無機質なボーカルが乗ってくる。ピアノが2小節単位で同じメロディを鳴らし続けるのはミニマル・ミュージック的と言っていいのかな?そこからだんだんと盛り上がって、強烈な転調を挟んでサビに流れ込んでいく構成が秀逸。繰り返しを主軸とした構成だからこそ、最後の3連符の盛り上がりが効果的。
映像
放課後の教室の風景を定点カメラで撮影。キャラクターデザインは本編より簡略化されており、キャラクターの動きはおそらくロトスコープ。20人近いキャラクター全員にそれぞれの個性に合わせた芝居がつけられている。本編とは大きく異なる表現方法を用いてキャラクターを描写することで「あっ、本編でああ表現されているキャラクターは(現実世界で言うところの)こういう子のことだったんだ」という気付きがあり、本編の見え方まで変わってくる。
これは伝わるかわからないんだけど、見慣れたアニメキャラがいい動きをしているのを見るのはすごく嬉しい。『月がきれい』は作画の高低が激しいアニメだったけど、OPの枚数を使った小太郎の踊りとか、荒木涼が原画を描いたシーンなんかは小太郎がアニメキャラではなく意志を持った人間として動いていて、ああ彼は存在するんだなあと感じた。
キャラクターデザインを積極的に簡略化するというアイデアが優れている。薄目を開けてぼんやりした視界で見ると現実の人間もアニメキャラも同じように見えるのだから、キャラクターデザインをディテールダウンしたうえでロトスコで芝居をつければ本物っぽく見えるというアイデアだったんだろうか(実際のところはロトスコープの作業量を減らすための簡略化が上手く作用したという順序なのではないかと想像している)。
ロトスコEDと言われれば『かぐや様』のチカダンス、キャラクターデザインの操作としては『明日ちゃん』(あと『はまじ再臨』…?)が比較対象になりそう。チカダンスは徹底してキャラクターデザインを維持しながら高密度のロトスコープをやってのけている。『明日ちゃん』は本編中に時折厚塗り盛り盛りの情報量が増えた絵が入る。
作品
最初は病気の同級生を支えるという話と顔の良い女に近づきたいという話がないまぜになっていて本当にそれで良いのか?と思ったけど、この手の無茶な設定の中でいろいろやるアニメだと設定が馴染んできてからが本番。リアルからデフォルメまでアニメとしての表現の幅の広さとそれを実現する作画・撮影力、そして村川梨衣の圧倒的貢献。力のアニメですな。