本記事中の画像は研究の目的で『星合の空』3話から引用したものであり、これらの権利は赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会に帰属します。
柔らかさ
2話には「柔らかい」がいくつか出てくる。
- いじめっ子が悠汰に「気持ちわりいんだよ、ふにゃふにゃしやがって」と言う
- 頬の腫れを指摘された眞己が頬を揉む
- 晋吾が眞己に自己紹介するときに左手でボールを揉んでいる
- 眞己が初めてボールを触ったときの会話
ふーん、ボールがふにゃふにゃだな
そら、硬式のボールよりは柔らかいわ
じゃあ当たっても安全じゃん
でも、これ思いっきりぶつけられると次の日ミミズ腫れにはなるよ
僕なんか翅くんにスマッシュで太ももにぶつけられて、ミミズ腫れ3日間引かなかったよ
それにしても小汚いよなボール。女子のはもうちょっと綺麗じゃん
しょうがないんだ。男子が使えるのは女子のお古だから
一度くらいおろしたての白い粉が付いてるやつを使ってみたいよなあ
やめろ。惨めだ
ボールの柔らかさはソフトテニスの象徴であり、監督インタビューにあるようにソフトテニスは未熟さや純粋さの象徴である。最後の会話は、未熟な中学生でもやるときはやるという今後の展開を暗示しているのかもしれない。
大人と子ども
- 柊真がいじめっ子たちに「ガキかよ」と言う
- 眞己の世話を焼く柊真に対して「いや子どもじゃないし」「そうか?俺達まだ子どもなんじゃないか?」
じゃあ柊真は大人なのか子どもなのか。子どもとしての自己認識はありつつ、他人を子供扱いする傲慢さも持っているのが14歳という年齢か。
空の飛行機と地べたの少年たち
走り終わったあと、空と飛行機のカットが挿入されてから、グラウンドに倒れ込む柊真と眞己のカットになる。この空のカットは何のためにあるのか。
ひとつは遠景を映すことでシーンの転換を印象づけるお約束、そして空の色を見せることで夕方になったことも表現している。加えて、広い空をただ1人飛ぶ飛行機に対して、汗にまみれて一緒に走る少年たちという対比にもなっているだろう。校庭20周を経て互いを認めあったシーンにふさわしい。