NINJAの末裔の少女が殺された父親と祖父の仇をとる話。
率直に言えばそんなに面白くはなかった。幼女がNINJAアクションする冒頭から既に既視感がありすぎて退屈だったし、その後の父親からロボットのペット(アニマルドローン)を紹介されるシーンもかったるくて寝てしまった。父親のアニマルドローンに関する研究が兵器に転用されているというのがストーリーの重要な点なのだが、登場するアニマルドローン3体のビジュアルがあまりにもショボすぎる。あまりにも普通の動物の見た目なのだ。
メインキャラの風格がなさすぎる。アニマルドローンは人間の奴隷ではなく友達であるということを説明するために過去のエピソードが1つ挿入されるのだが、よく理解できなかった。説得力のある使い方ができないのならAIとか出さないほうがいいと思う。そもそも復讐の相手はマッドサイエンティストであり、つまり狂人である。狂人に道理はないので力でねじ伏せるしかない。主人公が敵と戦いながら互いの主張をぶつけ合うということにならない。だからこの物語に特に主張はない。一応主人公が仇を殺して良いのか悪いのか思い悩むところはあるのだが、そもそも狂人は殺さない止まらないので結論はもう出ている。アニメに狂人を出してはいけない。そんな感じで、どこかで見たような設定の上で描写不足でポイントもよくわからない物語が100分続くだけだった。
実際のところオリジナルアニメ作品の脚本はこんなもんだろうと覚悟はしていた。だがクオリティ面でも概ね劇場レベルを下回っていて残念だった。キャラクターの作画はかわいいことにはかわいいのだが、目の大きさが変わりすぎていたりギャグ顔の崩しのレベルが全編通して不統一だったりと、演出が機能しているのか怪しい。アクションはよく動いていたような気もするが、体術と超能力と戦車という無差別級もいいところのゴチャゴチャぶりで強さの相場がわからなかった。唯一音楽は横山克が作ったと思しき曲は良かった。オーケストラが好きなので。
パンフレットのインタビューで脚本のハヤシナオキは「企画の成立自体からイレギュラーで、本来のアニメの作り方とは全然違うもの」と述べている。また、野村総監督は既存作品との被りを避けた、バトンタッチした篠原監督がどうしても復讐劇要素を加えたがったと述べている。平たく言えば迷走で、まあそうだろうなという出来。野村総監督が家族で見てほしいと言っている一方でキャラデザの斎藤敦史には永谷プロデューサーから「秋葉原にいるアニメファンを敵にしないでほしい」というオーダーがあったというのも面白い。ちなみにパンフレットには省略版のスタッフリストしか載ってない。絵コンテは6人くらいいた気がするがクレジットが英語なのでよく覚えてない。
そう、英語なのだ。この作品は海外受けを狙っているのだと思う。そう考えると、JAPANで2019年にやっていいとは思えない既視感の強い展開やNINJAアクション、超能力や戦車といった味付けの強さも納得できる。