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ショタコンが『瓜を破る』を読んで気が狂った

· 5 min read

広告で偶然見かけて、読んだら存外しっかりと面白くて7巻まで読んだ。面白くて満足したのだが、同時によく見るラブコメの先にあるセックスまでガッツリ見せられて、自分には手に入らないものがとても美しく描かれていて参ってしまった。一応付言しておくと創作物を読んで辛い気持ちになるというのは作品にパワーがあって自分に刺さったということなので良いことだと思っています。

私はショタコンなので、法と社会が認める範囲内で、相互に肉体的欲求と思慕の対象となってセックスを行える2人組って羨ましいなって思った。

『瓜を破る』の香坂まい子は、当初は「セックスを経験してみたい」という漠然とした思いしか持っていなかったにもかかわらず、鍵谷千里と偶然知り合い相互理解を深めてセックスに至る。そのセックスは気遣いのある幸福なもので、読んでいても幸せな気持ちになった。もちろんこれは創作物の美化された話なので(美しくないエピソードもたくさん描かれている作品ではある)真に受けるのはバカなのかもしれないが、手に入らないものへの憧れを焚きつけるには十分だ。

エロ本ではなくちゃんとした恋愛漫画なので、2人とも性格の良い人間であって、相性も良く、かつ丁寧に相互理解を深めていったこと(つまり肉体的欲求が全てではない)はきちんと描写されているが、それと同時にお互いに対する肉体的欲求が最初からそれらを強力に促進していたこともまた描写されている。相互が肉体的欲求な対象になる2人の間には、セックスが生まれるハードルって低いのだなあ。

2人の出会いも仕事の関係者で趣味の一致というシンプルなものだ。そういう素朴な関係からでも意思と能力でこういう関係に到れるという話は、逆説的に能力の欠如によって市場に参加すらできない人間をより惨めにさせる。

「セックスなんかしなくても人は生きていける」「作られた欲望だ」と言う人があるかもしれないが、人間というのは皆セックスをした人間の遺伝子を受け継いでいるのであって、この行為が人間にもたらす満足感が無意味とまで言うのは生物学的な基盤を無視した空論、栄養さえ足りていればサプリで生きられると言うようなものだと思う。それにできないよりできたほうがいい。

羨ましいな。自分が知らない、手に入らない充実(相互の肉体的なつながりを含む愛情の交換)があることが。

いい大人がこんなことを言うのはアニメばっかり見てきて精神が未成熟だからだと笑いたければ笑ってくれよ。怒らないとは約束しないけど。