※本記事内の画像はアニメ『神霊狩/GHOST HOUND』第1話より研究のために引用したものであり、それらの権利はProduction I.G・士郎正宗/「神霊狩/GHOST HOUND」製作委員会に帰属します。
ちょっとアニメのリアルタイム視聴に疲れてきたので、昔のアニメを見る習慣を始めてみようと思う。
『神霊狩/GHOST HOUND』は数年前に途中まで見てやめてしまったアニメだ。何か過去作を見ようと考えたとき、友人に勧められたので視聴を再開することにした。
全話このような記事を書くつもりはないが、見どころがある回は適宜取り上げたい。
Aパートの話の自然な回し方
- 太郎が外に出ると慧に会う
- 慧は酒を取りに来ただけだったので香りのついたシャンプーを使っていた
- 太郎がその匂いに気づく
- 慧が嗅覚の良さを褒めて「さすが蔵元の惣領」と言う
- 太郎はその立場をあまり快く思っていない
- 母は仏壇に米を供えている
- 父は慧が作った玄米酒を飲んでいる
- 太郎は父に自分に酒蔵を継いでほしいのか尋ねる
- 本当は姉が継ぐはずだったと言う
- 両親が過敏に反応し居づらくなった太郎は一人で2階に去る
- そこで姉の部屋のドアを開けて中を見る
いつもどおりの古森家の生活の中に2という些細なイレギュラーが発生し、それによって平和に見える家庭に今でも影を落とす姉の死という闇が姿をあらわす。全体にリアリティレベルが高くダウナー(僕は湿度が高いなどと表現したりする)な作風であるがゆえに、ちょっとした不気味さが視聴者には増幅されて伝わる。
学校の色彩の乏しさ
- 自然は陰影豊かに描かれる
- 一方で学校は白っぽく、彩度を下げて無機質に描かれる
- メインキャラ以外の彩度を下げてメインキャラを際立たせる表現も見られる(常時ではない)
校長室での照明の使い方
校長室で太郎はカウンセラーの平田篤司と出会う。平田との会話のなかで太郎の抱えている恐ろしい記憶と謎めいた忘却が少しずつ視聴者に明らかにされる。その意味でこの校長室は真実を明らかにする場である。
- 窓の外がハイライトで塗りつぶされているのは真実を照らす光のメタファーだろうか
- 表情を変えずにただ太郎を見つめる平田が怖い。この怖さは完全な止め絵を作れるアニメーションならではもので、順光で陰影が少ないことが表情の乏しさをさらに強調している。
- 一方で逆光となる太郎の生気のない表情は、暗く表現できる