※本記事内の画像・動画は『キャプテン翼』OPより研究のために引用したものであり、それらの権利は高橋陽一/集英社・2018キャプテン翼製作委員会に帰属します。
流背とは帯状あるいは放射状のデザインによるアニメの背景である。具体的な空間を描かずにスピード感を表現するためにテレビアニメ、特にバンクカットなどでよく用いられる。
『ポケットモンスター』1話
いかにもアニメらしい演出なのだが、流背が使われると現実感が損なわれてチープな印象になってしまうことも多い。僕はあまり好きではない。しかし『キャプテン翼(2018)』のOPでは流背が複雑かつ効果的に使われていて面白かったので紹介する。絵コンテ・演出はソエジマヤスフミ。なおこのOPに関しては以前も書いている。
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— 栄西・the・博愛僧侶 (@min_nan_a_si) October 2, 2018
このカットの原画は小澤和則。この書きぶりだと長大な1カットという扱いなのだろうか。
booruに翼の自分のカットあったけど1カットの最初と最後だけになってておいおいってなるw
— オザ_カズ (@oza__kazu) April 2, 2018
翼のオーバーヘッドシュートがシュートと平行な流背の上に描かれるのだが、このシュートが流背を切り裂いてカットが切り替わる。
そこから金田エフェクトを思わせるような単色の帯によって画面が区切られながら、様々な方向の流背をバックに次々とキャラクターが紹介されていく。
最後は翼のシュートに戻ってくる。キャラクターを仕切っていた帯はシュートと垂直な直線に変化する。
](http://livedoor.blogimg.jp/min_nan_a_si/imgs/6/6/6624f670.png "Screenshot from 2018-10-02 23-47-45")1枚目では流背がシュートと平行だが、2枚目ではシュートと垂直な線が描かれている。
ここからは無理な深読みになるが、シュートと平行な流背からライバルたちが登場し、そのライバルたちが今度はシュートに垂直な線に変化する。そしてボールはそれらをすべて飛び越えてゴールする。
これは翼とライバルたちの関係を表現しているのではないだろうか。翼もライバルたちもサッカーが好きなサッカー少年であり、同じ方向を向いている。途中で流背の方向が変わっていくのはそれぞれのライバルが独自のサッカー観を持っているから。そして翼のシュートは最後はすべてのライバルたちを超えてゴールする。
翼が志を同じくするたくさんのライバルたちと競い合いながら、最後には勝利するということを視覚的に表現したのがこのカットなのだと思う。
最後の画像、よく見ると「CAPTAIN TSUBASA」という文字列で埋め尽くされていてちょっと怖い。ただ、このOPは全体的に翼を応援する内容になっているのでそういうものだろう。