批判的で攻撃的な記事に対して多くの冷静な意見をいただき、大変ありがたいです。
1さん
>>茜は比良から告白された事を後ろめたいからか小太郎に告げていません
ここは重要な論点だと思います。
茜が小太郎にその事実を告げなかった理由はなにか。
「さっき比良といた?」
「あー、うん」
「2人だけ?」
「そう。ごみ捨てじゃんけんで」
「ふーん」
「え、なんで?」
というやり取りを鑑みるに、私は「後ろめたいから」告げていないという解釈は間違っていると考えます。
後の会話も考慮すればむしろ茜は、比良と2人だけでいたという事実が小太郎を怒らせているということがわかっていないのです。
この違いは重要です。茜は意識的に事実を隠したのではなく、小太郎の気持ちがわからなかっただけです。
前者であれば茜が責められるのは仕方がありませんが、後者であれば少なくとも茜に「悪意」はありません。
しかし「問題があった」のは事実であり、反省の余地があることには同意します。
厳密な言葉を使えば、茜には故意はありませんが過失があったと言えます。
>>小太郎の茜に対する苛立ちは嫉妬心よりも茜が正直に話していない事からだと私は感じました。肝心な事を話してくれず不信感を抱いたのでしょうね。
なるほど。茜がどう考えていようと、小太郎にしてみれば茜は言ってくれていない。
私の言葉に直させていただけば、小太郎は茜の中に悪意を感じとっている。だから茜にも悪意を持って接していると。
厳密には小太郎は茜に会った瞬間から不機嫌な態度を見せているので「茜が正直に話していないから」説も小太郎の苛立ちの全てを説明できるわけではありません。
引っ越し・進路・小説のストレスや嫉妬感情と複合的に考慮されるべきものでしょう。
ともあれ「小太郎が茜に対して悪意を持って接した理由は、純粋に彼の嫉妬心である」という記述は撤回すべきですね。
比良とのことについて、茜は言わなくていいと思っていたが、小太郎は言ってほしいと思っていた。
その認識のズレは、小太郎が茜と比良が一緒にいるところを目撃してしまったという偶然によって表面化したと。
>>茜がお祭りの時に流した涙も、小太郎に冷たくされたからというより、正直に話さなかった事により、せっかくのお祭りを台無しにしてしまった事、そして小太郎に嫌われてしまったかも、という後悔から
そうですね。「後悔」という表現は絶妙に正しいと思います。
>>そうすると最後の二人が仲直りする場面や「私も、ごめんね。喋れなくて。もう嫌われたかなって」というセリフなんかにも綺麗に繋がると思います。
茜の行動に筋が通っていることには納得しました。
しかし、ロジックには納得した上で、描写には納得しません。
茜の小太郎への想いが十分強かったから事なきを得ましたが、場合によってはそのまま茜を失っていてもおかしくない事態です。
それにもかかわらず小太郎は光明受験の決意を強めるだけで茜に何の歩み寄りもしていません。
中学生の2人の未熟な恋愛を描くというのであれば、これもまた1つの「リアル」であるのかもしれません。
しかし小太郎のこの態度は将来の禍根であり、10話が「後味の悪い」エピソードであったという感想は変わりません。
2さん
>>小太郎ともうすぐ会えるのですから、食欲を少し我慢して小太郎とのデートで二人で食べればいいじゃないですか。
>>ゴミを捨ててすぐ陸部の皆の元に帰っていれば、比良の告白もなかったわけですし。
これは後知恵です。
小太郎と会う前の茜がいも恋を食べ、比良に告白された。
この行動がもたらす結果を茜が予測し回避することは不可能だと私は考えます。
よってこれらの行動は不運ではあったが、茜には故意も過失もないです。
>>しかし小太郎のいも恋を食べようと持ちかけた時の声は、苛立っているようには私には感じませんでした。
>>もし、一緒にいも恋食べていたら、小太郎の苛立ちも少しは収まっていたのかな、と思いました。
そうですね。小太郎が苛立つのは自然なことです。
>>祭りのお囃子後のコメントからも、身が入ってない感がありました。
>>そこに自分の純文学の小説がラノベと同じような言われ方され、さらに精神的に不安定だったと思われます。
プレスコのせいかスケジュールのせいかこのあたりの演技・演出は不明確に感じられたので、ここについては意見を保留します。
>>その状態で比良の茜への告白を目撃して、断ったにしても自分に伝えてくれなかったとなったら。
>>自分が小太郎の立場だったとしたら、中3で恋愛経験が初めての中で、茜にいつものような笑顔を返せるか、自信ありません。
はい。小太郎が苛立ったのは状況的に仕方なかったと、今はそう思います。
>>過去に美羽がさんざん、「隠し事なしだよね」と言っていたのを思い出しました。
>>この時は美羽のちょっと嫌な性格をクローズアップさせてるのと思ってましたが、かつての記事主さんが述べておられた「合わせ鏡構造」に似た感じで、美羽の言葉がそのまま小太郎の心境にあてはまるかのようでした。
「合わせ鏡構造」を最初に提案したのは私ではなく2chの誰かです。一応。
作中で反復されるセリフは、特定のキャラクターの発言というレベルを超えて作品世界の真理となることがありますね。
美羽のこのセリフは、隠し事は悪い結果を産むという月がきれい世界の一般原理を説明していると取ることも出来ますし、茜が隠し事をしがちだという問題点の指摘と取ることでもでき、興味深いです。
nightさん
>>こんなまとめかたをするのはとても雑だと思いますが「中学生らしさ」であらかたまとめられると思います
>>思春期特有のモヤモヤからくる言動は理不尽で、矛盾だらけだというのが登場人物の言動から顕著に出ていると思います。
中学生なのだから至らない点はあり、それを描くのもこの作品の魅力です。
ということは、お互いに不完全だから成り行きで関係は壊れるし修復もするということも認めねばならない。
『fragile』の歌詞も不器用さゆえの衝突は愛さえあれば乗り越えられると歌っていますね。
ただ一方で挿入歌自体は表現主義的なものであり、不完全な2人をそのまま描くという自然主義的なコンセプトと食合せが悪いです。
私の初見時の印象の悪さはその食合せの悪さによるものかと自己分析しています。
「記事主様の主張ではドライな大人な恋愛な雰囲気が少し感じられます」とのご指摘はもっともだと思います。
私はキャラクターに合理性を求めすぎ、かつストーリーにバランスを求めすぎているのかもしれません。
>>作中の話とは全く関係ありませんがこういう批判記事での討論というのは大好きです
>>これらの記事では自分の中での違和感が解消されるとともに自分の意見を言える場として重宝してます
>>そして作品が好きだからこそ納得のいかない部分に憤りを感じ、声をあげざるおえない とても共感致します
>>これからも応援しています
ありがとうございます。
応援している作品ほど要求が高くなるタチで、ちょっと気に入らない展開があるとキレて視聴をやめるということがよくあるのですが、この作品への情はそう簡単に断ち切れませんでした。
その結果として見苦しい文句のような記事を書いてしまい、反省しています。
それでも多くの方に読んでいただき反響も頂いているので、書いた意味は確かにあったのかなと思います。
しかし、基本的にはアニメブログはアニメの面白さを伝えるものであるべきだと考えており、次回以降もそのようなコンセプトで平常運転に戻る予定です。
これからもブログにお越しいただければ幸いです。
7さん
最初に申し上げておきますが、このアニメは個々の背景画は非常によく川越の街を再現している一方で、地図上の整合性は担保されていません。
たとえば1話の茜の下校ルートは歩いている方向や場所の順番が整合していません。
現実の地図と重ねた考察にももちろん一定の価値はあると思いますし、その着眼点と労力は尊敬しますが、そのような考察の有効性には限界があるというのが私の意見です。
>>落ち合った後の茜の発言は、皆に先に帰ると伝えた後にわざわざ比良と会っていたという意味になってしまいました。
この解釈は目からウロコでした。確かにおっしゃる通り。小太郎の茜への不信を加速させる要素ですね。
>>小太郎は、与えられた短い休み時間が終わりに近づき、茜を疑わなくて済む情報を得られずに不満を抱えたまま去ります。
これは違うと思います。
「さっき告白された。断ったから」と茜は明言しているので、少なくとも「茜を疑わなくて済む情報」は得ています。
しかし時すでに遅しだったというのが正確な解釈ではないでしょうか。
>>学校については、比良ならば学力の点でもスポーツの点でも推薦を得ることは容易であり、進学の動機も陸上の強豪校で理由づけられます。
>>そういう点では自分が不利な立場にあることをわかっている小太郎は、茜への思いが引っ越しやライバルの登場によってぐらつくfragileなものであることを感じて当惑していたことでしょう。
少し読みすぎな部分がある気もします。「小太郎が比良の光明進学の可能性を考えた」とまで具体的に判断できる描写は本編にはないと思います。
しかし一方で、比良と茜が一緒にいるのを見て自分と茜の関係のことを考え、比良は茜と同じ高校に行く能力があるのに自分にはない、それでいいのか、と考えたという筋書きは魅力的ですね。
進路問題によって仲直りを果たしたのだから、遡って仲違いの原因も根本的には進路問題であると考えるのは確かに合理的だと思います。
>>茜は泣きながら、「もう嫌われたかなんて…」と僅かな疑いを告白しています。
事実として茜はそう思っているのでそれは仕方ないんですが、小太郎にあんな扱いをされても小太郎が自分を想っている証拠を見つけて自分から小太郎を連れ出すのは「惚れた弱み」だなあと。
茜が小太郎を好きで、関係を失いたくないから行動を起こした。それを受けてはじめて小太郎は謝罪を口にした。
これでは小太郎が何も反省していないことになります。茜にひどいことはしたけれど、茜と一緒にいたい。だから受験勉強を頑張る。それは小太郎の理屈です。
茜が小太郎にベタ惚れしているから茜からアクションを起こしてくれて偶然仲直りできたという筋書きでは、小太郎が嫌なやつであるという感想を拭えません。
10さん
>>いつも優しくて怒ることなんてないはずの小太郎が年相応の人間らしく嫉妬したり感情をうまくセーブ出来なくなるイベントが必須ですよ。
>>今回のコタさんのイライラや茜の上がり下がりは絶対不可欠なプロセスなのですよ。
シリーズ構成上の必要性と、個々のエピソード内の整合性は別の問題です。
>>主さんもそこら辺を意識して俯瞰されてはいかがですか?もっとこの作品の良さがわかると思いますよ。
私にとってのこの作品の魅力は堅固な脚本と丁寧な演出です。
2017/6/22 22:10追記
「1コメの人」さん
多くの点で合意が得られたと思います。
11話の放送も近づいてきているので、最も重要な点に絞って、なぜ受け取り方の違いが生まれているのか、私なりの考えを提示させていただきます。
>>このように小太郎の態度には、ちゃんと理由があるんですよね。けっして嫉妬などの個人的で理不尽な理由だけで苛立った態度を示したわけでは無いと思います。むしろ普段通りに振る舞おうと努力した描写もあったので私としては、それほど理不尽な態度とは思えなかったです
>>今回の話は、簡単にまとめると、茜が意図せず結果的に、小太郎にかなりの不信感を抱かせるような事をしてしまい、小太郎も不信感から茜の前で苛立った姿を見せてしまうエピソードだったと思います。どちらかが一方的に悪いわけではありません
茜の行動は、それが小太郎を傷つけることは予測不可能でした。
それに対して小太郎の行動は、それが茜を傷つけることが予測可能でした。
しかし予測できても、その行動を自ら制御することはできなかった。
この「自ら制御することはできなかった」という点をもって小太郎が罰に値すると考えるかどうか、それが私と「1コメの人」さんの根本的な違いではないでしょうか。
個人的な話で恐縮ですが、私はわりと抑制的な性格だと自己評価しています。感情をコントロールし行動を抑制することは中学生の時代でもそれほど苦労したことはありませんでした。
「1コメの人」さんの性格がどうだ、と決めつけたいわけでは決してありません。ただ、私達の議論は個人の感覚に帰着させるしかないところに到達したのではないかと、そう申し上げたいのです。
そのような決着で「1コメの人」さんはご納得いただけますでしょうか?
>>小太郎の態度に失望して茜が離れていくといった感じでしょうか?
そうです。小太郎はそうならないための具体的行動を起こしていません。
2017/6/23 02:07追記
僕は抑制的な性格なので感情を制御できない小太郎に共感できなかった、とブログに書いたら読者さんに「10話感想記事見たらそんな性格に見えないぞ」と言われて一人で爆笑してる。完全にその通りだ。恥ずかしい。 #月がきれい #tsukigakirei #月がきれい徹底視聴闘争
ともあれ、あとは感性の違いでしかないと断言できるところまで議論ができたのは実り多いことだと思います。感謝します。 #月がきれい #tsukigakirei #月がきれい徹底視聴闘争