いいアニメだった。とにかく脚本の質が高い。ストーリーの根幹は王道だし、細かい描写が後のストーリーに活きてくることが多くて構成をかなりきちんと考えていると感じた。出したキャラクターを無駄にしないし、キャラクターの心境の変化がきちんと行動に現れるような筋書きになっている。当たり前に見えてなかなかできることではない。
貨幣に期限を…辺りの話は西野亮廣の価値観なのかなと思ったけど、ストーリーに影響を与えるわけでもないしアクセントとしては良かったと思う。
話がきれいにまとまっていて映像も美しくかったという作品は満足感の割に書くことが少なくなりがちなんだけど、最近見たココ・ジョゼ・プペルの中だとプペルが一番満足度が高い。それくらいよかった。
あと小ネタだが、パンフレットはかなり多くのスタッフの文章が載っていて読み応えがある。
映像
ストーリーとのシンクロ
煙に覆われた街で星空を見るというストーリーに説得力を持たせるためには、これもまた当たり前のことだが、煙で覆われた街は汚く、星空は美しく描かなければならない。4℃の画面のクオリティは予想以上だった。ずっとごみごみした人工物だらけの街並みを見せられていたので、煙が払われて星空や崖、森が見えるシーンは感動的だった。
演技
会話のセンスがいい
単純にお互いの状況を確認するための声掛けでも、返答の仕方にひと捻りがあって気持ちがいい。
声の出演は専業声優は少なく、俳優と芸人が多い。演技が未熟だと感じられることは全くなく、むしろそれぞれキャラに合っていてよかった。
プペル役 窪田正孝
とぼけた話し方の中に信念や友情などが感じられる名演だった。パンフレットに載っている写真を見て、このイケメンがあの声を出してるのに驚いた。
スコップ役 藤森慎吾
当て書きだったとのこと。確かにそうでなければ成立しないキャラクターだったし、高い喋りの技術で期待通りの演技をこなしていた。冷静に振り返るとシーンの流れを止めているしストーリー上もやや唐突感のある役割のキャラなんだけど、演技の迫力で押し通すだけのパワーがあった。