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『郊外の鳥たち』と『らくだい魔女 フウカと闇の魔女』を見た

· 8 min read

郊外の鳥たち

6/10

TLで大評判だったので見てきた。

「こういう話だった」と言えるような明確な起承転結はない。大人のパートと子供のパートが相互に曖昧なイメージの連関でつながりあっている。もしかしたら、つながっているという言葉すらも強すぎで、磁力のようにじんわり引き合っていると言うべきか。こういう映画も作れるんだなあという驚きがあった。

僕が好きだったのはどちらかと言えば大人のパートだ。カメラの使い方が独特で、ある程度距離を取った場所にカメラを置いて、その位置は固定したままゆったりとしたPANやズームによって人物の動きを追っていく。ハンディカメラのような臨場感はないが、固定カメラのような被写体と切り離された窃視感や背景の空間性を排した演劇感があるわけでもない。

この映画をこういう風に見る人どのくらいいるのかよくわからないんだけど、測量チームの4人組が結構好きだったんだよな。仕事上の遠慮のない言葉、仕事の中でも少し遊びのある会話、そしてオフの食事の仲の良さそうなコミュニケーション。会話の流れを作るために飲み物を注いで乾杯を発生させるとか、うっかり瓶を倒しちゃったときの反応とか。課長いい人だよね。中国語のイントネーションが激しいので会話を聞いていて退屈しにくいというのもあるのかもしれない。

測量という題材も興味深かった。端正なレイアウトにこだわる大人パートなんだけど、視聴者には水平・垂直に見えているレイアウトが、測量してみると実はズレているかもしれない。画面に見えない恐怖を描くという点で、これはホラーに発展する余地すらあったなと思う。だから、この4人が地盤沈下の原因を探っていく謎解きの話に展開していっても面白かっただろうな。

子供のパートは人数が多くて、僕は特に映像作品の顔認識が苦手なので混乱した(ハオ・太っちょ・黒炭・じいさん・ティン・きつねがメインだけど他にもいたよね?)。太っちょとハオの関係はどうだったんだろう。2人でベッドに入ったときに、布団の下でなにか激しく動いているカットがあったけど、それは「そういう」含意があったのかもしれない(無いと言い切れないよね、この作品)。

クソオタク的なメモをしておくと、廃バス→『電脳コイル』『僕だけがいない街』、廃団地→『雨を告げる漂流団地』。

パンフレットのページ数が多くて良かった。難解な作品だけにいろいろな見方が可能だろうが、非常に多くのインタビューやレビューが載っていて勉強になった。場面写も子供パートと大人パートの関連がわかりやすいように編集されている。

らくだい魔女 フウカと闇の魔女

6/10

60分の尺に占めるアクションシーンが多くてコスパ(?)が良い。魔女という題材上肉弾戦はないが魔法の撃ち合いは派手で、橋本敬史のエフェクトを大量に摂取できる。キッズアニメ特有の光と闇概念(光の何が良くて闇の何が悪いのかはあまり説明されない)とか、「仲間」推しとか、脚本的には詰めきれてないかなあという印象もあるが、一方でタイプ違いのイケメンキャラとかませてる友人とか、女児向け児童文学のお約束はきちんとクリアしていてそうそうこれだよ!という満足感もあった。出自とのギャップから失望されがちなフウカがメガイラを理解し、それによって和解に至るというエンディングには納得感があった。

作画が良いなと思うシーンが多かった。タイトルアバンの登校風景、説教→フウカ自室→禁固の部屋のレイアウト、メガイラ遊園地入口でのリリカとの対面〜鏡の迷宮の前半の芝居、メリーゴーランドに乗っての空中戦〜チトセの箒に相乗り、メガイラの玉座の間?での攻防、暗黒空間からの脱出。EDもかわいくて良かったね。1本の映画にするならバトルで山場が作れるこの話になるだろうけど、テレビシリーズでのんびり学生生活やってるのも見てみたかったね。制服がかわいいので。そういう「あり得たエピソード」を見せて視聴者の想像を広げられるのはいいEDだ。

チトセくんは途中まで体張るシーンばっかりで魔法使ってないじゃんと思ってたんだけど、フウカを救うところで見せ場作ってきて良かったね。しかしこれは、その筋の人にとっては「百合の間に挟まる男」に該当するのでは…?と心配になってしまった。