迫力のあるアクションの乱打が気持ちよかったが、流石に終盤はありがたみが薄れた。リオが復活するシーンの作画が良かった。CGによるローポリ表現?とトリガーでよく見る線の少ないエフェクトがよく馴染んでいた。湖のシーンは幽玄な背景の中に強い夕日を光源として置き、キャラクターの陰影のコントラストを大きくし、複雑なカメラワークも絡めて緊張感が生まれていた。
堺雅人の声の演技が素晴らしかった。冷静さから胡散臭さに、胡散臭さから敵対に、そして内面的葛藤を含んだ激情へと複雑に変化するクレイの感情を見事に表現していた。
ストーリーはそれほど良くはない。ガロもクレイも現在の思想に至った理由がよくわからなかったし、突然死んだ博士の残留思念が現れてバーニッシュとは〜プロメアとは〜みたいな説明して解決するのは中島かずき作品らしからぬ雑さだった。パンフレットを読むと今石洋之は「とにかくアクション映画を作りたかった」と言っていて、中島かずきは「少年と炎生命体の出会い」「ジュブナイル」という初期案が「(今石には)しっくり来なかったみたい」と言っている。2時間アクションで埋めるのが優先だったのだろう。それはそれで成功していると思うが、初期案も見てみたかった。
音楽の面では澤野ミュージックが満載だったが、アクションがあまりに多いので後半はどれも同じような曲に聞こえてしまった。一方で主題歌を本編中に流して変化をつける試みは良かった。