※本記事内の画像はアニメ『メジャーセカンド』第23話より研究のために引用したものであり、それらの権利はNHK・小学館集英社プロダクションに帰属します。
前回に引き続き『メジャーセカンド』第23話(絵コンテ・演出: 外山草)を見ていく。
光の粉
この話数ではキャラクターの強い気持ちの表現として光の粉が舞う演出が見られる。原作マンガには対応するものはない。
単なる感情の可視化に加えてこれを利用した様々なプラスアルファの工夫があるので紹介する
感情の共有
プレー中の選手はフィールドに散っているので同時に画面に収めるのが難しい
- やってできないことはないが遠近法で片方は小さく描かざるを得ず、表情はよく見えない
そこで複数のキャラクターを別々のカットで写しつつ、同じ光の粉の効果を乗せることで、彼らが同じ感情を共有していることを表現する
- 3塁の大吾が打席の光を「お前なら絶対打てる」と励ます
- ホームの大吾、ライトの睦子、センターの光がこの回は1点も失点できないという決意を共有する
疎外
- グラウンドを明るくぼかして光の粉を舞わせ、その手前にキャラクターを配置して逆光にする
- 負傷した卜部とアンディの、勝利に貢献したいのにもう試合には加われない無力感・疎外感を表現している
中心
- このカットは唯一、光の粉が光を中心に渦を巻くように流れている
- これまでの全ての光の粉のカットに対してこのカットの特別さを際立たせている
- 渦の中心に立つ光がグラウンド全体を支配していることを表現している