演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。指揮は栗田博文。高木正勝(ピアノ)、奥華子(歌)、アン・サリー(歌)がゲスト出演。『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』の劇伴については、筆者は2017年の京都岡崎音楽祭も聞きに行っている。
セットリスト
Spotify のプレイリストとして公開されている。このプレイリストは期間限定なので、以下に書き写しておく。
- 祝祭
- 三千世界の迷い子
- 充たされた子ども
- 胸の剣
- ほしぼしのはら
- アン・サリーのボーカルつき(映画で未使用・サントラ未収録)
- 2017年にも披露されていたはず
- きときと - 四本足の踊り
- 映画と関係ないCMでも使われた超有名曲。曲の構成はサントラ収録版と違う。
- 雨上がりの家
- おかあさんの唄
- 仮想都市OZ
- KING KAZMA
- 栄の活躍
- 1億5千万の奇跡
- 映画の内容と合わせて観客に適当な光り物を振ってもらうという演出があったが、光る物(売ってたのかな?)は持ってなかったしスマホは電源切ってカバンにしまってたので反応に困った。あまり広がらなかった。
- The Summer Wars
- Trans Train
- Marginalia Song
- Of Angels
- 夏空~オープニングテーマ~
- スケッチ - ロング・バージョン
- 少女の不安
- からくり時計~タイムリープ
- 変わらないもの - ストリングス・バージョン
- 奥華子のボーカルつき
- U
- 中村佳穂のボーカルは録音
- 歌よ
- ボーカルなし
- Dragon's Lair
- 心のそばに
- 中村佳穂のボーカルは録音
- Faces in the Rain
- A Million Miles Away - reprise
- 中村佳穂のボーカルは録音
- 光り物演出、こっちもやればよかったのに
- Overture of the Summer Wars(アンコール)
- ガーネット(アンコール)
感想
映画の1シーンが(ときどきセリフも)が巨大スクリーンで再生されながら、それに合わせてオーケストラが演奏するという形式で進行した。音楽自体の魅力もさることながら(これは後述)、細田映画の音楽で盛り上がるシーンだけを抽出して連続で見るという体験も面白かった。脚本の流れとか尺の長さの要因がなくなるので、通常の鑑賞以上に話の組み立てではなくエモーションに集中することができ、ああ、細田守って人間のこういう面を描きたがるよなあ…という発見があった。
演奏そのものの良し悪しを話すと、純オケものの曲(『バケモノの子』に多い)はもうひとつ魅力が伝わってこないという感じだった。本物のオーケストラがすぐそこにいるにもかかわらず音を全部マイクで拾ってスピーカーで流していたので、本来東京フィルならできるであろう繊細な音色や音量バランスのコントロールがあまり発揮されていない(2017年のコンサートでは生音だった記憶…自信ないけど)。スピーカー通さなきゃいけないのは理由があって、オケ+歌の曲では歌はアンプかけてスピーカーから鳴らすのでオケもスピーカー通さなきゃいけなくて(?)、それに合わせるように純オケ曲もスピーカー通すことにしたのだと思う。あとは本編映像からたまにセリフも流れるのでそことの音量調整もあるんだろうか。とにかく、標準的なクラシックのコンサートよりも格段に音量調整が難しかったはずなのでその辺の必要性なのだと理解している。たぶん席によってもここの印象は全然違ったんだろうなあ。
『竜とそばかすの姫』の劇伴は中村佳穂の歌ものが中心になっているのでどうするのだろうと思っていたが、ボーカルは録音でオケが生演奏という面白いパターンだった。でもそもそもミュージカルを指向する作品であって、伴奏も本格派オケサウンドになっているので、これは正しい判断だったし価値ある演奏だった。
アン・サリーと奥華子の生歌は聴き応えバッチリだった。アン・サリーの素晴らしい表現力と声の豊かさよ。語りのような自由なテンポの揺らしにオケもよく合わせていた。奥華子は少し緊張が感じられたが、オケと張り合うパワフルな歌声は録音とは違った魅力があった。
小ネタ
- 足本憲治の名前がクレジットされてないのはよくないと思う
- 高木正勝の作った曲をオーケストラ用にアレンジした人です
- 特別協賛: 明治安田生命保険相互会社、協賛: 株式会社不二家、協力: Spotify
- 明治安田生命はスタジオ地図のコラボCMが休憩中にスクリーンで流れていた
- 不二家も同じタイミングでお菓子のCMが流れていた…気がする(内容が定かではない)
- Spotifyは上述のプレイリストの件の協力だろうか